【MIT発】AI物理学者の仕組みとその衝撃!

【MIT発】AI物理学者の仕組みとその衝撃!

AIが物理法則を導き出す時代の到来に向かって、遂に時が動き始めました!

まだまだ産声を上げたばかりであり発展途上ではありますが、AIが簡単な物理法則を導き始めました。

MITが行った実験では、二次元のシミュレーション空間において、任意の方向に重力や電磁力、ばねの張力などを与えるような摩訶不思議なミステリーワールドを形成し、その中で動くボールの軌跡を学習させることで、領域内での運動の法則を推論させました。

実験の結果、40のミステリーワールドを支配する運動法則の90%以上を導いたとのことです!

これは革命的な出来事です。

何故なら、AIがやがて人間には処理しきれないほどのデータを学習することで、人間には実現困難な統一的な物理モデルを構築する可能性があるからです。

AI物理学者がノーベル賞級の発見を得るような未来が待っているかもしれません。

そんな希望に満ちた、MIT発のAI物理学者について特集します。

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AI物理学者とは?

AI物理学者とは、MITの研究チームが開発する、物理法則を導くことを目的としたAIです。

内容としては、実験系の物理学者が行う手法をAIに組み込むことで、人間の物理学者のように実験データから物理法則を導出する機能を持たせることを目的としております。

実験系の物理学者が行う伝統的な手法として現在AIに取り込まれているものは、以下四つの手法です。

・分割統治法(Divide and Conquer)

・オッカムの剃刀(Occam’s Razor)

・統合(Unification)

・人生を通じた学習(Lifelong Learning)

AI物理学者の仕組み

実験物理学者の伝統的な研究方法である上記の四つの手法について、それぞれ見ていきましょう。

AI物理学者の仕組み①分割統治法

分割統治法とは、その名の通り、分割して統治する手法です。

物理学者による例としては、ガリレオが振り子の振動の周期と脈拍との関係から、振り子は振幅によらず周期が一定であることを導いたことですかね。

振り子を見ると言っても、振り子の局所的なスピードや座標の推移、振幅の変化から、果ては温度や湿度、周りの人々の動きなど、そこから得られる情報量はとても多く、ほとんどはノイズです。

その中で、振動の周期のみに着目し、心拍数が一定であることを利用したガリレイの手法はまさにこの『分割と統治』の代表例と言えるでしょう。
(この振動の周期に着目するという着眼点がすさまじいセンスなのですが。)

これをAI開発にどうやって当てはめるかというと、学ばせる対象が重力なら、重力場だけがあるフィールドを与え、そこでのボールの動きを学習させるといった感じです。

そして、重力が学べたら次は電磁力といった感じで徐々に学習対象を増やしていき、領土を広げていくようなイメージですね。

AI物理学者の仕組み②オッカムの剃刀

オッカムの剃刀とは、重要でない情報はゴッソリ切り落としましょうという考え方です。

AIでは学ばせるデータを学習しすぎるあまり、その学習データにしか対応できない汎用性の乏しいモデルが出来上がることが多々あります。

これを過学習といいます。

このような過学習を抑制し、かつモデル式に出てくる無駄な小数点などのデータ量を削減するために、本AIでは小数点を分数で表したり、整数に近似するようにしております。

更に、分数についても式の長さ(情報量)がなるべく小さくなるような調整を行って、式の冗長化を防いでおります。

AI物理学者の仕組み③統合

物理学では式の統合ということが頻繁に行われてきました。

例えば、「光」は干渉縞の実験が示すような波としての性質と、コンプトン効果に代表されるような光子という粒子としての性質を併せ持っております。

この目に見えないミクロの世界において二つの相反する性質を統合し、更にマクロの世界に適用可能なニュートン力学に代表される古典物理学を統合(包括)したものが量子力学であります。
(厳密には違いますが概ね正しいのでご容赦を)

ちょっと抽象的な話になってしまいましたが、AIでの式の統合とは、例えばx方向の重力の記述とy方向の重力の記述を一つの式にまとめるというようなお話です。

AI物理学者の仕組み④人生を通じた学習

これは、考え方は簡単でわかりやすいです。

要は、あるテーマについて経験豊富な人の方が初心者に比べて上手にできますよね、という話です。

同じ人物であれば、経験を積んだ後の方が積む前よりもその分野に関しての能力が当然上がります。

つまり、これまでの経験による学習効果をAIにも適用させようという試みが、「人生を通じた学習」です。

ある新しい物理法則をAIに学習させる際に、他の物理法則を学習済みの状態から学ばせるということですね。

後述しますが、今回の研究に関してはこの手法の適用は非常に大きな効果をもたらしたようです。

AI物理学者が今できること

以上4つの物理実験屋的手法を導入することにより、二次元のシミュレーション空間に複雑な力が場として与えられた40の摩訶不思議フィールドにおいて、90%以上の確率で精度よくボールの運動を推測することが出来るようになりました。

ここで注目すべきは、四つ目の手法で紹介した「人生を通じた学習」を導入した方が圧倒的に速いスピード(少ない学習量)で学習できたということです。

これは、プロの物理学者がそれまでの経験を元に新たな課題を対処するスピードの方が、新人の物理学者に比べて一般的には圧倒的に早いということと同じことですね。

努力と経験の重要性を物語っております。

人間は経験したことも簡単に忘れてしまいますが、AI(コンピュータ)は忘れずに記憶を保持できるため、この効果はAIの学習時間と共により顕著になっていくのでしょう。

AI物理学者の今後の課題

この生まれたてのAI物理学者が現在取り組んでいる課題は、振り子の先のボールにもう一つの振り子をつけたような二重振り子において、例の摩訶不思議フィールドでの運動を精度よく推測することだそうです。

今回のAIでは、すでに96.5%の精度で運動を予測できるのですが、まだまだ改良の余地があるようです。

本AI手法を用いることで、物体の運動に限らず、現実世界の様々な現象を学習することが可能でしょう。

また、工学分野での実験データを集めることにより、電磁場や流体の流れ、熱や応力による変形など、現実世界を模擬したシミュレーション空間の構築に応用されるかもしれません。

これが出来れば、今まで現実世界で行っていた設計や実験がシミュレーション空間内で行えるようになるため、コンピュータの演算スピードで高速に実験が行えるし、実験装置や試作品を作る必要もないためお金がかからないし、良いこと尽くしです(初期投資と電気代はかかりますが)。

人間が未だ見いだせていない物理法則の発見だけでなく、このような産業界にも貢献するような応用がなされることを期待したいですね。

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まとめ

MIT発のAI物理学者についての論文について紹介しました。

今はまだ簡単な運動法則しか推論出来ていませんが、今後の発展が非常に楽しみな研究ですね。

「AI物理学者って名前はタイソウご立派だけど、できることはこの程度かよ、人間様は安泰だな」などと、うかうかしていると、やがて物理学者がAIに職を奪われるような未来が来るかもしれません。

AIに淘汰されないためにも、AIを使いこなす側にまわりましょう!↓

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