みなさんが日々使っているスマホやタブレットは、ここ数十年の間に半導体技術がとてつもないスピードで進歩し続けたおかげで、今手にすることができているということをご存じですか?
本記事では、コンピューターの性能UPと小型化を導くムーアの法則と、それによる恩恵について、性能と価格の推移を見ながらご紹介します!
収穫加速の法則の代表例:ムーアの法則とは?
コンピューター内に存在するトランジスタ(半導体)の集積密度は、指数関数的に増加する。50年以上にも渡って起こり続けているこの現象を、ムーアの法則と言います。
1965年にIntel創業者の一人であるゴードン・ムーアが「半導体の集積密度は毎年2倍になる(後に18から24ヶ月で2倍に修正)」と提唱した経験則であり、このように名付けられました。
つまり、1.5年から2年でPCの性能が2倍になるということを示しています。
なお、シンギュラリティ(技術的特異点)が2045年までには到来すると主張している生粋のシンギュラリタリアンであり、昨今のシンギュラリティブームの立役者であるレイ・カーツワイルは、ムーアの法則を拡張して収穫加速の法則というものを提唱しました。
ムーアは、集積回路におけるトランジスタの集積密度の倍々ゲームのトレンドを示しました。一方カーツワイルは、計算素子という更に根っ子にある技術の計算量(計算密度)は、計算手法を幾度にもわたってパラダイムシフトさせながら、100年以上にわたって倍々ゲームのトレンドを維持してきたと主張したのです(下図参照)。
図 ムーアの法則の拡張版、収穫加速の法則(出典:Wikipedia)
2018年現在、半導体プロセス(微細加工技術)の進歩のペースが落ちてきていることや、半導体プロセスを小さくすることによるうまみが減少していることから、ムーアの法則は終わったという声があちこちで聞こえてきております。
現に、Intelは半導体プロセスを10nmとするCPUの開発を、当初の計画から3年間も遅らせております。
しかし、カーツワイル氏は、2020年以降には現在の手法とはまた別の演算技術を用いるようにパラダイムをシフトすることで、この指数関数的進歩を堅持するはずだと主張しております。
世界的に有名な日系アメリカ人の理論物理学者であるミチオ・カク氏も「2100年の科学ライフ」にて同様の主張があります(分子コンピュータ推し)。
未来がどうなるかは置いておくとして、これまでの半導体技術において、この法則が示すような指数関数的な性能向上が達成されていなければ、スマホやタブレットはおろか、ノートPCでさえ開発されていなかったかもしれません。
ムーアの法則の検証:PC (CPU)のここ10年での性能推移
上記のようにとんでもないペースで進化してきたコンピューターの演算性能。
確かに、10年前には殆ど存在しなかったスマホやタブレットが今や高性能かつ安価で手に入るということは、この法則の恩恵を示す一つの分かりやすい例でしょう。
しかし、デスクトップPCやノートPCが10年前と比較してそこまで大きく進化しているという実感はあまり無いのではないでしょうか?
それでは、PC (CPU)の性能がここ10年でどれぐらい進歩したのか、確かめていきましょう!
CPUの演算性能を測る指標を提供しているPASSMARKというサイトで、CPUの性能推移を確認していきましょう。
3万円台で購入できる最近のロースペックノートPCやタブレットPCを調べてみたところ、以下のCPUがよく使われている事がわかりました。
このモデルをPASSMARKで検索してみたところ、CPUの性能の数値は1197であり、開発年度は2015年第2四半期、現在のCPU価格は133ドルであることがわかりました。
↓Intel Atom x5-Z8300搭載のPC・タブレット↓
それでは、10年程前のCPUを調べてみましょう。
同じぐらいのスコアのものとして、以下のモデルが見つかりました。
PASSMARKでのスコアは1248、開発年度は2009年第一四半期となっております。ちなみに価格は1645ドル。Intel Atom x5-Z8300の10倍以上の価格ですね!
Xeonといえば、計算サーバやワークステーション用に使われるものであり、Core iシリーズよりも上位の超高性能CPUです。そのXeonの約10年前のモデルとほぼ同等の演算性能のCPUが、小型なノートPCの中でも最安価な3万円台のものに搭載されているということです。
これぞ、ムーアの法則の面目躍如!!
(以下、2018.12.26追記)
2018年12月現在Gemini Lake世代のCeleron N4100を搭載したよりパワフルなノートPCが安価になってきました。
Celeron N4100のCPUスコアは、Atom x5-Z8300の2倍程度である2314となっております!
2014年のCore i3-2332M(スコア2382)と同程度の性能であり、ネットサーフィンやOfficeの利用等の普段利用やサブマシンとしては十分なスペックです(標準的なノートPCのスコアは2000~4000とのこと)。
以下のモデルは40000円程度とはなりますが、コストパフォーマンスは最高レベルであり、おすすめです。
まとめ
もちろん、上に示した例において、これら二つのCPUは私が恣意的に選択したものですから、ある年のXeonと同等のものが10年後には3万円台で必ず手に入るということを示すものではありません。
しかし、そういう例があるという事実を示すことにより、ムーアの法則の破壊力が少しでも伝われば幸いです。
テクノロジーは、おそらくあなたが思っている以上の速度で急成長していきます。
この勢いは、誰にも止めることはできません。
この恩恵を最大限に利用しつつ、テクノロジーの明るい未来に思いを馳せ、目の前の嫌なことや、困難な現実を乗り越えていきましょう。
Technology Is Everything!!
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