英語に関する参考書やメソッドが溢れている昨今では、英語力を高めようと思っても具体的に何をやればいいのか途方に暮れる人も多いと思います。
何をどのように何時間やれば、どのぐらいの効果が得られるかということを具体的に数字で示してほしいと考えたことはないでしょうか?
とりあえずこれさえやっておけば間違いない無いという研究に裏打ちされた手法があれば知りたいですよね?
そう考えた私が思い立って調べてみたところ、まさにそのような手法が明らかになったため、本記事で紹介します。
結論から言うと、3カ月間毎日1.5時間、分速100語程度で読める好きな洋書(英文)を楽しみながら読むだけでTOEICのスコアが40~50点上がります。
英語の総読書量とTOEICスコアの関係
英語を読んだ量に自信がある方は少ないのではないでしょうか?
それもそのはず、中学校と高校で読む英語の単語数は、受験勉強を普通にやっていた場合でも10万語以下だそうです。
これは、洋書(ペーパーバック)1~2冊に相当する量です。ハリーポッターと賢者の石の原書が77000語なので、これ一冊プラスアルファといった感じですね。
それでは、英語の総読書量とTOEICスコアとの関係はあるのでしょうか?
豊田高専で行われている英語多読授業にて、読書量とTOEICスコアとの貴重なデータがあります。サンプル数は少ないですが、分散が小さいため概ねこの結果に乗ってくると考えてよさそうです。
上図のy=〇x+△という式の〇xの部分に着目してください。
xは読んだ総単語数(単位は万)ですから、以下のように整理できます。
英語読書量とTOEICスコア向上点数の関係
・初回受験スコア300点台:100万語当たり40点向上
・初回受験スコア400点台:100万語当たり41点向上
・初回受験スコア500点台:100万語当たり46点向上
これが英語多読の効果です!
TOEIC対策をしなくても、自分の読みやすい簡単な英文を100万語読めば、TOEICでは平均40点以上の点数向上が見込めるとデータが示しております。
ここで重要なのは、TOEICの点数が高いほど100万語当たりの伸び率は向上し、分散(個人差)は小さくなるということです!
TOEICの対策をせずとも点数が上がっているということは、真に重要である英語力そのものが向上しているということです。
楽しんで好きな本を読むことによりこれほどの効果があるというのは、特に読書家にとっては朗報ですね。
なお、多読を行う上で重要な注意事項3点を以下に示します。
英語多読の注意点
・辞書はなるべく引かない
・わからないところは飛ばす
・つまらない本は読むのをやめる
なるべくストレスをかけずに、大量にインプットすることを主眼に行うことが重要です。
英語の読書量と読解速度の関係
英語で読んだ単語数に応じて、TOEICの点数は比例して上がるということが、実践的なデータからわかりました。
沢山の語数を読めば読むほど英語力があがるということですが、読書スピードが早ければ早いほど読書時間当たりの読書語数は増加するので学習効率があがることがわかります。
それでは、総読書量と読書速度の関係はどうなっているのでしょうか?
研究調査によると、強制して読まされた場合には17583語毎に読書速度は1%向上し、主体的に楽しんで読書した場合は5671語毎に1%向上したそうです。
この結果から、英語で読書をすればするほど読書スピードは向上するが、自由に楽しんで読む方が強制されるよりも3倍速で向上するということがわかります。
好きこそものの上手なれですね!
読書量・読解速度の読書時間シミュレーション
それでは、読書時間を増やした場合の読書量と読解速度の推移をシミュレーションしてみましょう。
条件は以下のように設定します。
シミュレーションの条件
・現在の読書スピードは100語/分とする
・読書速度の伸び率は、保守的に17583語毎に1%と仮定
まずは、読書時間と読解速度の関係から示します。
17583字毎に1%ずつ読書速度があがるという保守的な条件であっても、100語/分の読書速度だった人が約125時間ほど英語で読書を行えば150語/分に到達します。TOEICの問題を解ききるのに必要な読解速度が150語/分とのことですから、TOEICを時間内に解ききれるレベルに到達します。
そして、300時間の読書を行えば、ノンネイティブの目標値として指標となる250語/分に到達します!
ここまでくれば第二言語としては完成レベルでしょう!
次に、この読書スピードの伸びを考慮した場合の読書時間と総読書単語数のシミュレーション結果を示します。
約135時間の読書を行えば、100万語に到達します。これにより、TOEICのスコアは40点以上向上することが期待できます。
その後は約225時間で200万語に到達し、300時間読書をすれば300万語以上が狙えます!300万語読めばTOEICは120点から150点ほどのスコアアップが期待できます。一日1時間好きな本を読書すれば一年足らずでこれだけ伸びると思うとやる気が湧きますよね?
一日1.5時間、英語読書した場合のシミュレーション
さらにやる気がある人のために、社会人でもできる範囲として1.5時間の英語読書を毎日行った場合のシミュレーション結果を以下に示します。
まずは、経過日数と読書スピードの関係からです。
100語/分の読書速度だった人が、毎日1.5時間英語で読書することを約90日間行うと、TOEICを解ききる目標レベルである150語/分の速度に到達します。
三か月間行えば1.5倍の読書速度になるということがわかります。素敵ですね!なお、150日続ければ200語/分を超え、200日続ければノンネイティブ目標値の250語/分を超える結果となります。
次に、経過日数と総読書単語数の関係を以下の図に示します。
90日間毎日1.5時間読書を行うと、総単語数は100万語を超え、TOEIC40~50点アップが期待できます。
更に読書を進めると、150日(5か月)で200万語に達しTOEICスコアは80~100点アップが見込め、200日では300万語オーバー、120~150点アップと試算されました。
これまでの試算結果を以下に整理します。
読書速度100語/分の人が一日1.5時間英語で読書した場合
- 90日で読書速度150語/分、TOEIC完答可能。読書総単語数は100万語達成、TOEIC40~50点UP
- 150日で読書速度200語/分、TOEICで時間が余る。読書総単語数は200万語達成、TOEIC80~100点UP
- 200日で読書速度250語/分、ノンネイティブ目標値到達。読書総単語数は300万語達成、TOEIC120~150点UP
まとめ
英語で好きな本を読書するだけでTOEICだけではない根本的な英語力が比例的に強化されるという情報は、なにを勉強すればよいかに悩む英語学徒の方々にとっては一定レベルに有益な情報なのではないでしょうか?
勉強だと肩肘張って考えると億劫になりますが、趣味の延長として好きなジャンルの本や情報を英語で読むだけで良いのであれば、続けやすいですよね。英語力だけでなく知識や理解力、感受性や創造力などといった読書による様々な効用も同時に得られるのがこの手法のミソです。
英語に限らず、読書量が増えると年収が増えるという大まかな統計結果もあります。
出典:しらべぇ
まずは、好きな小説や映画・アニメの原作、趣味に関する本や雑誌など何でもいいですから、自分が読みたいと思うテーマのなるべく簡単で読みやすい洋書を入手し、楽な気持ちで多読してみてください。
上記のシミュレーションのように読書速度と読書量が推移していき、それに応じてTOEIC点数が向上していくことが統計的データから示されております。
読めば読むほど読書速度が速くなり英語力もどんどん向上していく様は、複利の効果と同様に指数関数的変化の為せる業ですね!
なお、洋書も対応しているAudibleでは無料でオーディオブックが一本聴けます。以下の記事に、おすすめのオーディオブックを紹介しております。
多読向きでかつ内容も面白いおすすめの洋書は以下です。
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