最近よく聞くシンギュラリティについて、なんとなく概念的には理解できていても、細かい内容や、そこに至るまでの道のりについては詳しく知る機会が少ないですよね?
そんな方に向けて、「シンギュラリティとは何か」が理解できるおすすめ本ベスト5を選出しました。
それぞれ視点や手法は違いますが、どれもシンギュラリティに対する洞察が深く、読んでいてワクワクするような面白いおすすめの作品群です。
なお、これまで大量の関連本を読みあさってきた生粋のシンギュラリタリアンである私が、シンギュラリティについて詳細に解説した以下の記事も、合わせてお読みいただければ幸いです。
関連記事:【技術的特異点】シンギュラリティとは?~ベーシックインカムの必然性と労働からの解放~
シンギュラリティ本、第1位:『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』
米国の未来学者、発明家、元大統領歴代科学アドバイザーであり、シンギュラリティ啓蒙家であるレイ・カーツワイル氏の著作「ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき」。
Kindle版は、「シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき」であり、わたしはこちらを読みました。
これを読まずして何を読むのかというぐらい、言わずと知れたシンギュラリティ本の金字塔。
本書内での科学技術の未来予測に対する予測精度が一説によると86%であることから、予言の書とも呼ばれております。
昨今のシンギュラリティムーブメントはここから始まったと言っても過言ではありません。
シンギュラリティという概念を議論する上で超重要な経験則、『収穫加速の法則』の詳細な説明があり、その法則を用いた各分野のテクノロジーの未来予測が続きます。
具体的には、「ジェネティクス革命」「ナノテクノロジー革命」「ロボティクス革命」の革命三銃士が生じるとのこと。
ジェネティクス革命では、病気の根絶や老化が無くなり人間が死ななくなるというパラダイムシフトがおこる。
ナノテクノロジー革命では、ナノボットにより常に体内をスキャンすることで体内が最適化されたり、内臓がいらなくなって人間がサイボーグ化したり、あらゆるものが3Dプリンターで作られるようになるというパラダイムシフトが生じる。
ロボティクス革命では、あらゆる仕事がロボット×AIに取り込まれ、AIが判断を下すことで人間による労働が不要になるというパラダイムシフトが起こる。
それぞれの分野について、専門家級の深度と知識量は、さすがシンギュラリタリアン代表者です。
そして、各技術分野が指数関数的に進化し続けた結果、2045年にシンギュラリティ(技術的特異点)に至るという説明のプロセスは、未来のことなれど説得感があります。
しかし、本書はそもそも内容が高度でありかなり難解な上に日本語訳がこなれておらず読みにくく、さらに600ページにものぼる大書ですので、読みきるにはそれなりの覚悟と体力が必要です。
カーツワイルの思想を深く知りたいとか、カーツワイルをもっと浴びたいという変態以外は、以下のエッセンス版をおすすめします。
重要なことは全て書いてありますし、かなり読みやすくなってます。
わたしはこのエッセンス版を枕元に置いて日々寝てますw
シンギュラリティ本、第2位:『エクサスケールの衝撃』
2017年末に詐欺容疑で世間を騒がせたPEZYコンピューティングの齊藤 元章 氏による書籍が「エクサスケールの衝撃」です。
本書は、ハードウェア(スパコン)の演算性能の指数関数的進化に軸足を置いた作品であり、なんと本書も600ページを超える大書です!
日本を代表するシンギュラリタリアンである齊藤氏による、スパコンが照らしだす明るい未来像はまさに衝撃的でした!逮捕されたことも同じぐらい衝撃的でしたけれども!!
プーチン大統領が「スパコンを制する国が世界を制する」というようなこと言って、スパコンやAI開発に全ブッパしたり、中国が国家権力を振りかざしてスパコンとAI開発に全ブッパする理由がよくわかります。
究極的には、第一原理計算(シュレディンガー方程式)を大規模レベルで出来てしまえばあらゆる世の中の原子的な反応や現象はシミュレーションにより解明できてしまいます。
そこまでは行かずとも、人間の脳をシミュレートしたり、タンパク質内の反応を解析したり、核融合炉の磁場制御を行ったり全反応をシミュレーションすることは、スパコン性能がエクサスケール(一秒間に10の18乗回の浮動小数点演算)に達すれば出来るとのことです。
そして、ここから本書で提唱された重要な現象、プレシンギュラリティ(社会的特異点)へと話は移行していきます!
プレシンギュラリティとは、簡単に言うとシンギュラリティが起こる前、時期でいうと2020年代あたりから、あらゆる仕事や仕組みがAIに取り込まれ、人間が積年の夢である『不労』となる道程のことです。
例えば衣食住やエネルギーはすべてフリーになるということが描かれております。
また、スパコン業界の最前線にいた齋藤氏は、わずか6リットル程度の筐体(スパコン)の中に、地球上の人類約70億人分の脳の総量と同等な性能を持つコンピュータを10年以内に作ることができると予測しております。
これは、18ヶ月でコンピュータの性能は2倍になるという、50年ものあいだ実証されてきたムーアの法則が、今後も継続するという前提による試算です。
未来が楽しみでなりませんね!
関連記事:【収穫加速の法則事例】ムーアの法則の恩恵:ここ10年間のPC (CPU)性能と価格推移
本書もレイ・カーツワイル氏の著作と同様に、エッセンス版があります。齋藤氏のレイ・カーツワイル氏へのリスペクトっぷりがよくわかりますね。
シンギュラリティ本、第3位:『人工知能は私たちを滅ぼすのか―計算機が神になる100年の物語』
とても読みやすく、かつ人工知能の歴史と、シンギュラリティが生じる未来がわかる一冊、「人工知能は私たちを滅ぼすのか―計算機が神になる100年の物語」。
舞台は近未来、女子大生がAI秘書サービスを用いてAIに関する卒論を書くというあらすじであり、ストーリーとAIの解説が順々に並行して進みます。
ストーリーに沿った解説はとてもわかりやすく、またエンターテイメント小説としても一級品です!
本を読み慣れていない方や、AIや未来技術をストーリー形式で基礎から知りたいという方にはおすすめです。
「ポスト・ヒューマンの誕生(シンギュラリティは近い)」、「エクサスケールの衝撃」への繋ぎとして最適でしょう。
こんな未来が待っているんだと、わくわくしながら読める傑作です!
学生時代に読んだりすると人生変わるかもね。
私なら間違いなくコンピュータサイエンスを専攻することになっていたことでしょう。
シンギュラリティ本、第4位:『人類を越えるAIは日本から生まれる』
神戸大学名誉教授であり天文学者、宇宙物理学者である松田先生の骨太なシンギュラリティ解説書「人類を越えるAIは日本から生まれる」。
学者らしく一つ一つロジックを積み上げていく新書スタイルであり、読了後には広範かつ十分な知識量が得られます。
また、学者あるまじく(?)解説はとてもわかりやすいです!映画「トランセンデンス」や「ターミネーター」「her」の話などがあり、楽しみながら読めるための工夫が随所に散りばめられております。
とはいえ、脳を解明する海外のプロジェクトに関しては、古今東西幅広く取り上げており、かつ専門家としての深遠な洞察が見られます。
シンギュラリティへのキーポイントである「脳の解明」について、一通りのことが概説されており、コスパはかなり高いです。
ページ数も200頁程度ですので、シンギュラリティをサクッと総合的に学びたい方には本書がおすすめです。
シンギュラリティ本、第5位:『シンギュラリティ・ビジネス』
シンギュラリティ大学出身の齋藤和紀氏によるシンギュラリティ前のビジネスの変革について解説した書籍、「シンギュラリティ・ビジネス」。
「エクサスケールの衝撃」を執筆したPEZYの齊藤さんとは別の方ですのであしあからず(^^;)
今後は、線形的(直線的)なものの見方ではなく、指数関数的(曲線的)な考え方である「エクスポテンシャル思考」を会得しなければ、シンギュラリティ時代では生き抜くことは出来ないと説きます。
レイ・カーツワイル氏が共同創立者であるシンギュラリティ大学では、10%アップというような従来の線形的な目標ではなく、10倍アップを目指すという野心的な教育方針を打ち立てております。
世の中に抜本的な改革を起こすことで、10億人に価値を提供できるようなことに取り組みます。
それにより、学生はエクスポテンシャル思考を身につけることができ、シンギュラリティ時代でもサバイブできるような人材になるとのこと。
エクスポテンシャル思考の概要やビジネス市場の今後の動向予測、シンギュラリティ大学について学びたい方は本書をどうぞ!
まとめ
シンギュラリティについて、理解がはかどるおすすめ本ベスト5を紹介させていただきました。
どれも、個性豊かで面白い作品となっております。
初心者の方は、「人工知能は私たちを滅ぼすのか」や「人類を越えるAIは日本から生まれる」あたりから読み始めた方が読みやすくてよいと思います。
しかし、シンギュラリティを真の意味で理解するには、「ポスト・ヒューマン誕生(シンギュラリティは近い)」と「エクサスケールの衝撃」が必読となってくるでしょう。
未来を先取りし、来たるテクノロジーの衝撃に今から備えておきましょう!
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AI時代に備えて今のうちに人工知能を使える側に回ることをお勧めします。
AIプログラミングを体験してみたいという方は、以下の記事で簡単なデモンストレーションを紹介しております。
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